場所はとある島のアルコール依存症患者専用の治療院。
そこで奇妙な事件がおきた。
始まりは人気作家、折原文博の死。
彼は自室にダイイングメッセージを残していた。
それはこの病院の患者と医師、計5名の写真に記号や番号が書かれているものであった。
彼の死に疑問を抱いた患者・山本は、
研修医と偽ってこの治療院で捜査をしている刑事・綾辻とともに
犯人探しを始めることにする。
第一に容疑がかかったのは山本の親友・桐野であった。
山本は桐野の疑いを晴らすべく捜査をすすめるが、逆に桐野の意外な過去を知ることになる。
桐野は耳の聞こえない音楽家。
彼女は音大時代の友人スミレを殺してしまったかも知れないというのだ。
耳が聞こえなくなるというストレスからアルコールに依存するようになった彼女は、
次第に誰かに殺されるという幻覚を見るようになった。
そんなことが続くようになったある日、事件は起こった。
その日の幻覚は唯一の理解者であり、良きライバルでもあるスミレであった。
朝、目が覚めて彼女の目に飛び込んできたもの、
それはバスルームの鏡に書かれた血文字
「あなたが犯人を探そうとしなければ、
第二、第三の殺人は起こらなかったのではないか?」
孤島のアルコール依存症更正施設で起きた事件は更なる悲劇の始まりに過ぎなかった。
複雑に絡まる人々の思惑、そして過去と現在。
果たして誰が謎を解く鍵を握っているのか…。
少年社中がお贈りした本格派ミステリーが、七年の時を経て、ダブルバージョンで復活!!