時は架空の20世紀初頭。

 ヨーロッパを中心に起こった産業革命は、蒸気機関*1という新しいテクノロジーを背景に人類に夢と希望に 満ちあふれた未来の到来を予感させた。しかし、人々の未来への希望が現実のものと なることは無かった。各国は新たなテクノロジーによって次々と近代兵器を開発し、お互いの覇権を争い世界を巻き込む大戦争を始めた。戦いの主力は、蒸気の力で動く 無数のロボットたち。ロボットたちはロボット三原則*2に従い人間の思うがままに戦いを世界中へと広げていった。

 そんな中、ユーラシア大陸は東の果て、関東軍が占領する満州の地に世界の覇権を 狙う一つの国家が生まれた。その名も『満州鉄道株式会社(略して満鉄)』! 満鉄 は、愛新覚羅溥儀を皇帝に擁し、万里の長城の地下深くより発掘された太古の乗り物 をベースに、全長1万メートルを超える超巨大鉄道『あじあ号』を作り出した。動力 にアトミックエンジン[原子力機関]を搭載した無限の動力を誇る『あじあ号』は、 その内部に100万人もの人員を収容する能力を持ち、戦闘国家としてその絶大なる戦 力を後ろ盾に世界を我が物とせんと動き出すのであった。

 時を同じくして、ラストバタリオンによって極秘に開発されたロボット『ロボタ』 は、戦いの中でロボット達が壊れていくことを疑問に思い「人間になること」を夢見 るようになる。ロボタは戦いに傷つき薄れゆく意識の中、一人の女性に出会う。クセ ナキスを名乗るその女性は、ロボタを「ロボットが人間になれる」という伝説の地 『桃源郷』へと連れて行くことを約束する。そして、ロボタは『あじあ号』に乗り込 み桃源郷を目指す旅へと 出発する。過酷な試練が待ち受けているとも知らずに・・・・。

*1 蒸気機関
窯から送られてくる水蒸気の膨張・凝縮の力を利用して動力化する、熱機関。主な燃 料は石炭やコークス。シナファイの世界では石油で駆動する内燃機関(ディーゼル)は発明されていない。その為、蒸気機関のテクノロジーが急速に発達。蒸気タイプラ イターや蒸気映画、果ては 蒸気で動くコンピュータまで存在する。

*2 ロボット三原則
SF作家のアイザックアシモフが考案したロボットの思考原理。
○第1条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過するこ とによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
○第2条 ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与 えられた命令が、第1条に反する場合は、この限りではない。
○第3条 ロボットは、前掲第1条および第2条に反するおそれのないかぎり、自己 を守らなければならない。

☆ シナファイの世界のロボット達も、この三つの原則に縛られている。つまりロ ボットは人間を攻撃できない。その為、戦争のほとんどはロボット同士による消耗戦がメインとなる。

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